沖縄の旧暦1年行事
2009年06月02日
旧暦1月 1日 元旦(ソウグァチ、ガンタン)朝早く若水(ワカウビ)を汲み、お水撫でをする。(口をすすぎ眉間をなでて若返る)仏壇、火の神(ヒーヌカン)に赤、白、黄の色紙を重ねてその上に花米、小銭、炭、昆布、ミカンを供える。年頭回りをする。 3日初越し(ハチウクシー)仕事始め(2、5日の地域もある) 4日火の神迎え台所の火の神を迎える。(年の暮れに天に昇った火の神が降りてくる) 7日七日節句(ナヌカヌシック)松飾りを取り、神仏に菜入り雑炊(ナージュシー)を供える。 14日小正月(ソウグァチグワー)ソーキ汁、スーチカー(塩漬豚肉)、練り芋(ウムニー)を食べる。 16日十六日(ジュールクニチー)グソーヌソウグァチ(後生の正月)重箱を持ち墓参りをする。 20日二十日正月(ハチカソウグァチ)終わり正月、スーチカーや田芋煮(ターウムニー)を食べる。 吉日 初う願(ハチウガン)をして家族の健康と家内安全を祈願する 2~13日 生年祝い(トシビー)13,25,37,49,61,73,85才の人が生まれ年の干支日に祝う。 若水伝説:むかしむかし、お月様が人間を若くしてあげようとして、天の水を汲みましたが誤ってその水を地上にこぼしてしまいました。こぼした場所に蛇がいて、天の水がかかり脱皮して若返ることが出来ました。人々はそれを見て、天の水で手足を洗い若返ったと伝わります。以後、正月の早朝に早く起きた人が若水を汲み、その水で「お水撫で」をすると若返り、今年も健康な 一年を過ごせると信じられています。 現在はどうか判りませんが、数十年前まで元旦の朝「若水デービル、若水ウサギヤビラー」との売り声が 家の路地から聞こえました。 |
旧暦2月 1日 彼岸入り 彼岸の中日を挟む七日以内に仏壇にごちそうを供え、先祖の供養と家内安全、健康祈願をする。 2日 土帝君土の神(トーティークン)をまつった祠を拝む。豊作祈願、大漁祈願、商売繁盛祈願。 4日 彼岸の中日新暦の3月21日 春分の日が彼岸の中日。 15日 二月ウマチー、麦穂まつり(麦の初穂を神に供える豊作祈願祭)地域によっては物忌み(ムヌイミ)がある。 酉・亥・丑の日 害虫駆除の祈願をする。島クサラシ 2月上旬、 家屋敷や部落の悪疫払い。(牛の血を使い悪疫払いをする) 重箱詰め料理:十六日・彼岸・清明祭・屋敷御願などにつかう沖縄独特の料理で地域や門中により多少異なる。料理の色彩や味付けも折目、又は節日によって多少使い分ける。一般的には、二段が白餅、残り二段は御三味(豚肉、かまぼこ、揚げ豆腐、煮昆布、てんぷら、ゴボウ等)の四段重ねで、一日くらいでは痛まない頑丈な料理である。 物忌み: (ムヌイミ)一定期間、仕事や行動、飲食をつつしみ、身を清めること。その昔ウマチー(大祭)の物忌みは厳格に守られた。更にその昔、ウマチー(大祭)に仕事をするとハブにかまれると信じられた。 |
旧暦3月 3日 三月三日は浜下り(ハマウリ)と呼び、女の子の行事で、浜の白砂を踏み身を清める。三月御重を持って潮干狩りを家族で楽しむ。三月御重料理は華やかで、ヨモギ餅と三月菓子を詰めてもらい赤カマボコ、黄色カステラに赤飯のおにぎりを加えて彩りも鮮やかになる。初めての女の子の重箱は初御重(ハチウジュー)と呼ばれ、母親は丹誠込めてつくりました。 15日 三月ウマチー、麦の収穫祭(麦大祭は麦の御神酒をつくり、御嶽などに供える) 清明祭 (シーミー)三月初旬におこなわれる、先祖供養の祭りで家族や一族が墓を掃除し、墓前にごちそうを詰めた重箱供え、宴をひらき親戚、門中(モンチュー)の交流を深める。神御清明 (カミウシーミー)本家を中心に分家した代表が集まる 三月ウビー水の霊地を拝み、その泉や井戸の水でお水撫でをする。 三月菓子サーターアンダギー(揚げ菓子)と材料はほぼ同じですが、重箱に詰めやすいように長方形になっており菓子の表に二本の切れ目を入れる。 三月御重 その頃の女の子は自分の重箱を友達同士や時には姉妹で自慢しあったり、競ったりしたそうです。 |
旧暦4月 14日~15日頃 畦払い(アブシバレー) 虫よけの行事で、田畑の畦の草刈りをし害虫や災いを追い払う。地域によって、畑の害虫を捕まえて海に流したり、村の広場で害虫を焼いたりしたと伝わる。腰憩い稲の植え付けが終わった頃に行われる宴で、慰労会をする。 山留ヤマドーミは植物の生育期間(自然保護にもにている)野良仕事や山仕事を禁止した。海留 ウミドーミも一定期間は漁を禁止し、特にその期間中女子が海にはいると龍神の怒りに触れて、全てが 不作になると伝わる。 留(ドーミ)禁止、留める、それ以外に処分するとか、始末するの意味でも使われた。 山留は作物の生育期間と自然保護が考えられる。海留はいつまでも海辺で水遊びをさせないよう注意したのでは ないだろうか。このころは梅雨入りで雨が多く海山とも危険である。 |
旧暦5月 4日 四日の日(ユッカヌヒー)年に一度の玩具市が並び、子ども達はおもちゃを買ってもらえる嬉しい日各地の漁村ではハーリー鐘が鳴り響き、ハーリースーブ(舟の競争)がある。ハーリー鐘と共に梅雨も明け、トロピカルな夏が始まる。 四日の日(ユッカヌヒー)は戦後間もない頃まで、クリスマスよりも盛大であった。町のおもちゃ屋、デパートは親子連れで大にぎわい。家ではご馳走があり、子ども達にとって嬉しい一日である。 ハーリー糸満ではハーレーと言う。爬竜船(はりゅうせん)競争をする龍神祭(又は海神祭)の行事。豊かな幸(ユガフー)を祈願する。 5日 五月五日は邪気払いと健康祈願する。アマガシを作り菖蒲の箸を用いたり、山羊料理や豚肉の料理を仏壇に供えたりする。(夏の始まりに精力をつけたのではないだろうか) 15日 五月ウマチー 稲穂祭(稲の初穂を神に供える豊作祈願祭)昔は盛大で、国(琉球)あげての重要な行事 であったと伝わる。神女(ノロ)によるおごそかな儀式や物忌み(ムヌイミ)が各地域でおこなわれた。節 祭:本島では五月ウマチー、離島では節祭の稲穂祭・粟穂祭が中心で地域により呼び方の違いがある。 粟のおにぎりをつくり、娘達が若水を汲み身を清めたり、豊作の感謝と若返り祈願の祭り。 |
旧暦6月 15日 六月ウマチー 稲大祭(初穂を神にささげる稲の収穫感謝祭)豊作に感謝し、部落及び門中の繁栄祈願。 この頃までには、山留、海留の物忌みが各地で解除される。各地で綱引きがある。 25日 強飯(カシチー)をつくる。新米(ミーメー)でカシチーを炊き、先祖と火の神に収穫の報告と感謝をする。 豊年祭 六月の刈り入れが済む頃、離島では盛大な豊年祭が行われる。 綱引き: 沖縄の各地で豊年を祈り綱引きが行われる。勝負で吉や凶を占ったり、綱の一部を海に流して作物の病気や害虫除けを祈ったりする。(地域によっては八月におこなわれる) 長老から聞いた武勇伝昔の綱引きは神事であり参加者も真剣であった。棒やかがり火を持った長が、見物している者や手抜きをした者は、棒でつついたり、たいまつの火を尻にあてたりした。その必死の競争はなかなか勝負が決まらず、交代でご飯を食べ夜通し頑張る時もあたという。 童 綱:(ワラビジナ)綱引き本番前の前座で村の子ども達の小規模な綱引き。 強飯(カシチー): 六月のカシチーは米だけでつくる純白で、御強飯(おこわめし)御強(おこわ)や赤飯ではない。 |
旧暦7月 7日 七夕 お盆の前に先祖を案内するため、お墓の掃除をしたり衣類や穀物の虫干しをする。(火葬が無かった時代は、洗骨を行った。) 13~15日 お盆 各家で仏壇や位牌の掃除をして、13日の夕方に家の前で火をたいて祖先を迎えるウンケーをする。 仏壇に提灯を飾り、お供え物として六品、または七品(ムシナ、またはナナシナ)を両脇に一対で供える。お供え物の脇や一段したに、ミンヌクーが供えられた。ミンヌクーはサトウキビや里芋等を細かくきざんだもので、先祖の霊を追って来る餓鬼や悪霊にあたえる。お盆の期間中は三度の食事をお膳に入れて仏壇に供えたり。お中元の品を持って親戚をお互いに訪ねる。精霊送りのウークイは15日夜更けに仏壇に焼香した後、紙銭を焼き、焼香の燃え残りやお供え物の一部を器に入れて外へ出し、そこで線香をたいて先祖をお送り(ウークイ)する。 ウンジャミ ウンガミ・ウナイウガミとも呼ばれ、本島北部から中部にかけて行われる海神を祭る豊漁と豊作祈願の祭り。ウナイウガミ(女をおがむ)から女の祭りとも伝わる。 シヌグ 本島北部の年中行事で、シニグ、シヌグイとも言われる。各地の儀式には違いがあり、男の祭りとも伝わる。 お盆の供え物:アダンの実(現在はパイナップル)・スイカ・サトウキビ{七節あるグーサンウージ(サトウキビ杖の意味)と短く一八本に切ったものを束ねたものをそれぞれ仏壇の左右に一対に飾る。(現在は省略する家庭もある)}龍眼(現在ではブドウ)・茗荷・グーガー(現在では梨)・バナナ・ミカン・ショウガ、を盛りつけ左右対で供える。一五日ウークイの晩は肉、魚、モチ等重箱料理でおなじみのご馳走を供える。地域により多少異なります。 ミンヌクー先祖の霊を追って来る餓鬼や悪霊にあたえる意味の他に、水の子の供養に供えるとも伝わる。 この頃は島全体が祭り一色となり、エイサー、ウスデーク、獅子舞、棒踊、村芝居、クイチャー、アンガマ、巻踊など多彩。 ウンジャミやシヌグは祭りの原点を思わせるほど神々しく素朴で力強い。 |
旧暦8月 8日 トーカチ 数え年八十八の長寿の祝い。米寿、「米(ユニ)の祝い」は八十八を米と結びつけたものとも伝わる。 祝いに来たお客に「斗(ト)かき」の形をした竹筒を、おみやげに持たせたところから「トーカチ」と呼ばれる。 8日 ヨーカビー(妖火日とも書く)悪霊払いの行事で、厄払いの祈とうをする。子ども達は爆竹を鳴らして遊ぶ。 10日八月強飯(カシチー)この日は小豆入りの強飯(カシチー)を、仏壇や火の神(ヒーヌカン)に供え健康祈願をする。 9日~13日 シバサシ(柴差し) 魔除けのためシバ(桑の小枝とススキを束ねた物)サシをする。石垣や門、家の廻りの 四隅、井戸、家畜小屋等の大切な場所や食物貯蔵の瓶にいたるまで魔物が入らないよう屋敷の御願をする。 15日 八月十五夜のお月見 フチャギ(あずきをまぶした小判型の丸い餅)を仏壇や火の神(ヒーヌカン)にお供えする。十五夜を挟んで3日間、八月アシビ、又は八月踊りのムラアシビ(村遊び)が盛大に行われる。狂言、組踊、雑踊、獅子舞、棒術など、沢山のだしもので賑わう。地域によっては綱引きもあり、沖縄の綱引きは六月綱引きと八月綱引きに分かれる。 斗かき升に盛った米を平らに切るための道具。トーカチ祝いの席に赤紙を巻いた竹筒を斗かきに見立て、たらいに山盛りにした米に何本も刺して飾り付ける。その竹筒に米が入っており、祝い客のおみやげに持たせた。 素朴な神事の舞踊からやがて、伝統芸能の基礎が築かれたと思うくらい華やかさが感じられるムラアシビが多い。 |
旧暦9月 7日 カジマヤー(風車) 数え年97歳の長寿の祝い。この年になると人は童心にかえるとされ、当人に風車を持たせ村あげて盛大な祝いをする。今日でもカジマヤーともなると親戚がそろい、風車を付けた車を仕立てて街頭をスネー(パレード)る。 9日 九月九日 菊酒を仏壇や火の神(ヒーヌカン)にお供えし菊の薬効による邪気払いと無病息災を祈る。 神拝み(カミアガミ)菊酒の頃に日を選んで、御嶽や拝所を門中そろってビンシーと重箱を持ち拝所を参拝して回る。 「東御廻り」(アガリウマーイ)「今帰仁上り」(ナチジンヌブイ),「首里上り」(スイヌブイ) 本島北部では井戸や泉を拝む(カーメー)があり、お水撫で(ウビナディー)をする。 ビンシー 携帯用の御願道具で、徳利2本・杯1個・花米・小銭・打紙・白紙・線香等がコンパクトに収められている。 |
旧暦10月 1日 竈まわり (カママーイ)各戸口を回って火の用心を呼びかけたり、かまどの掃除や屋敷の内外を掃除する。拝所では火除け祈願をする。御嶽や殿(トゥン)で火の用心を祈ることから「ヒーマーチヌ御願」と呼ぶ地域もある。 種子取祭 (タントゥイ、タナドゥイ)立冬の頃になると稲作が盛んな時代、各地で行われた。種籾を水に入れ良い種籾を選ぶ。 祖神祭(ウヤガン)祭 祖先の神が村や部落に来て、豊かな幸をもたらす祭りで、地域により月日や、儀式も違う。 祖神 選ばれた者が山ごもりをし心身を清め神となる。その後、人間の姿になり、村屋部落に現れ各家や田畑をまわり悪霊払いやみのり豊かな田畑を創る。 ミルク神 ミルクは弥勒菩薩からきていると伝わる。沖縄では五穀の神であり、「弥勒世果報」(ミルクユガフー)はミルク神によりもたらされる豊年である。各地の豊年祭には仮装したミルクの姿がみられる。 |
旧暦11月 7日 ふいご祝い (フーチェー、フーチヌユエー) 大工や鍛冶のふいご祭り。(農林水産業祭りが多い中、唯一の工業祭り) 10日 芋の折目 (ウンネヌウユミ)芋の祭り。芋の豊作祈願と、芋を伝えた野国総管(ウムウシュメー)の祭り。各家でウムニー (煮た芋を練ったもの)を仏壇と火の神(ヒーヌカン)にお供えする。 13日 アミドウシ 久高島で行われる漁業の祭り。 冬 至 トゥンジージューシー(里芋、野菜の雑炊で、冬至雑炊、又は閉じ雑炊とも伝わる)仏壇や火の神(ヒーヌカン)にお供えし健康祈願をする。 15日 イザイホー 久高島で12年に一度、牛年に行われる祭り。 トゥンジージューシー 現在も冬至にトゥンジージューシーをつくる家庭が多い。(近年は野菜類に豚肉の細切れを加える)昔、子どもの頃はトゥンジージューシーを食べる前にトゥンジーと呼ばれているので、縁側から庭に飛び降りてからジュシーを食べた記憶がある。 |
旧暦12月 8日 ムーチー 鬼餅(ムーチー)は、月桃(サンニン)やクバの葉で包んだ餅を、仏壇や火の神(ヒーヌカン)にお供えし家族の 健康を祝う。サギムーチーは、子どもの歳の数だけムーチを縄で結び部屋に吊して成長を願う。 ムーチー亜熱帯の沖縄でもムーチービーサと呼ばれる寒い日があり、その頃サンニンの葉で包んだムーチーを蒸す湯気と香りはとても爽やかです。ムーチーの由来はとても面白く、話して聞かせる子どもの為に少しアレンジするが、大筋では鬼と化した兄を妹が退治する物語です。 24日 御願解き (ウグワンブトゥキ)火の神(ヒーヌカン)が天昇する日とされる。 27日 豚殺し (ウワークルセー)正月、折目(ウユミ)又は節日(シチビ)や田植え等に備えて、豚を屠り、豚油を採ったり肉を塩漬け(スーチカー)にして保存する。 スーチカー塩漬けにした豚肉のことで、冷蔵庫のある今日では無くなり始めている。昔スーチカーの上手な主婦は隣村まで評判に なったと言うのは大げさですが、隣近所からお声がかかったと言うのは本当です。 ソーガチウワー正月用豚の意味で、そのために特別に大きく太らせた豚をいう。沖縄で豚は鳴き声以外は全て使う、と言われるくらい有効に調理される。 30日 年の夜 (トゥシヌユルー)大晦日、若松やクルチ、イヌマキの若木で正月の飾り付けをしたり、年越しの豚骨汁(ソーキ汁)や豚足料理(アシティビチ)を食べて新年を迎える。(年越しそばの風習は、ヤマトユーの頃から広まったと伝わる。) |